スカンクを見つけ出せ~満員電車の密かな戦い~

皆さんも一度は経験あるのではないだろうか。

満員電車の迷惑行為。

イヤホンからの音漏れなどの可愛いものから、

大声での話し声、きつい香水などちょっと勘弁なものまで。

身動き取れない中でこういう行為は辛いものだ。


その中で私が経験したのがあれだ。いわゆる異臭騒ぎ。

別に事件になるレベルのやばさではない。

簡単に言うとほら、そのー、人の臀部から出る例のガスのことだ。


そう、おならだ。

どこからともなくプーンと臭ってきたわけ。



音は無かった。

少なくとも私の耳には届いてない。

もしかしたら犯人の周辺には気づかれているのかもしれないが。

うん、あえて「犯人」と言わせていただく。


それにしてもとてつもない臭いだ。

何を食べたんだ!どうしたらこんな臭いになる!?

ポーカーフェイスを装うにもつい顔が歪んでしまうほどの強烈な臭いなのだ。

周りの人がなぜこんな涼しい顔でいられるのかが不思議だ。

こんな化学兵器をばらまかれたらたまったものではない。


しかしこういう時に慌ててはいけない。

もし自分が犯人だと思われたら一巻の終わりなのだ。

特に隣にいるお姉さん(美人)にはそう思われてはいけない。

もはやこれはそういうミッションなのだ。


冷静に考えよう。

こういう時犯人ならどうする?

まず気づかれたくないから知らんぷりをするだろう。

臭いなんて気にしない、いや気づいてませんけど?という顔をするはずだ。

何なら目を閉じて眠る振りをしているやつが怪しい。


それならむしろ自分じゃないアピールで誰だよー?と探すふりをするのはどうだ?

いやそんな性格の悪いことはできまい。

そもそも体が触れそうなくらいの満員電車で(少しは隙間がある)

首を振って誰だと見まわすことほど愚かなことはあるまい。

むしろ犯人がカモフラージュでそういう行動に出る場合もあるのではないか?

とすると私が犯人だと思われる可能性すら出てくる。それはまずい。

特に隣の橋本環奈にそう思われるのだけはご免なのだ。


しかしちょっと視線を泳がせて周囲を観察するのはありか。

もし近くの人と顔が合ったら「誰でしょうねぇ^^;」という顔をしておけばいいのだ。

困りますねぇ。臭いですねぇと必死にアピールする私が怪しく見えるのはこの際仕方ない。


とにかくこの臭さでつい笑ってしまいそうになるのをごまかしたいのだ。

ここで笑ったら犯人の思うつぼだ(?)

それ見たことか。お前が犯人だな?と犯人に指さされることほど屈辱なことは無い。

・・・まあそんな場合があるかというとまずないが。


いろんな葛藤ののち、とりあえず一瞬見まわしてみることにした。

誰がこんな爆弾を落としたんだ。確かめずにはいられない。


するとどうだろう。みんな涼しそうな顔をしているではないか。

いったいどうしたんだ?みんな鼻づまりかい?

この異臭騒ぎに騒いでいるのは私一人かい?


隣の環奈は当然のこと、新聞を小さくたたんで読んでいるあのおじさんも、

イヤホン学生も仲良さそうな女子高生たちも

誰も気にするそぶりが無い。

・・・あれか。みんなそういう特殊訓練でも受けてるんだな?

きっと田舎者(私)が知らない、都会で暮らすための訓練として

満員電車に乗る前に臭いに鈍感になる試練を乗り越えてきてるに違いない。


こうなったら仕方ない。

訓練を受けていない私がこのミッションを達成するしかないのだ。

絶対にスカンクを見つけ出してやるんだ。


臭ってからここまで数秒といったところか。

いろんなことを考えつつふっと見回したら・・・


顔を真っ赤にした、ウシガエルみたいな顔で

一点を見つめているおじさんと目が合った。


・・・・・・

貴様だな…!?


犯人を見つけた名探偵はこういう気持ちなのだろうか。

この場で名指しすることは簡単だ。しかしそれで誰が幸せになるのだろう。

皆が不幸になって終わりじゃないか。

あえて犯人を特定しないという優しさも必要なのではないか?

そんな思いがぐるぐると頭を駆け抜ける。


いや、いいんだ。とりあえず犯人はわかった。

とにかく環奈にだけはバレなければいい。

そう思い安心して顔を戻すと、

隣の環奈と目が合い、ちょっと眉をひそめて下を向かれてしまった。


違うんだ!?私ではない!

犯人はあのウシガエルなんだよ!

そう必死にアピールしたいが声は出ない。

むしろそんなことを言い出したらもう私の負けだ。


かといって降りていくお姉さんを追いかけて「実は違うんですよー」なんて言ったものなら

「駅員さん!ストーカーです!」と訴えられるのは待ったなしだ。

もう詰んでいるのだ。


こうして私が意気消沈するのと同時に臭いもいつの間にか消え、

車内には平和が戻った。



もし隣にいたのが本物の橋本環奈なら、

むしろ正直に「私がやったんですごめんね」と言えば

きっと「許しちゃうかんな!」と明るく言ってくれただろう。

・・・んなわきゃない。何を言ってるんだ私は。毒ガスに頭をやられたか?


まったく。

次はもっと気づかれないようにやろうっと。




・・・もちろん最後のは嘘ですよ?念のため(笑)

やったのは私ではありません。

もう一つのブログに書こうか迷いましたが、今更見る人はほとんどいないのと

せっかくだからこちらでもゲーム以外の記事もたまにはあるんだよとお見せしたかったので

こちらに書くことにしました。

もしかしたらいずれ向こうに引っ越しするかもしれませんがお楽しみいただけたら幸いです。


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